腎臓の近くにある副腎から、ホルモンが過剰に分泌される病気です。
全身の代謝にかかわるホルモンですが、過剰になると様々な問題が発生します。
症状としては飲水量や尿量が増えるのが特徴的で、毛が薄くなる、お腹が膨らんでくる、筋肉が衰えるなどがよくみられます。
また糖尿病を誘発したり、免疫力の低下による感染症なども起こりやすくなったりします。
この病気は下垂体性と副腎性に大別されます。
下垂体性は、脳の下垂体から副腎を刺激するホルモンが過剰分泌され、副腎皮質からホルモンの過剰分泌が起こります。
副腎性は、副腎腫瘍などで副腎皮質から自律的にホルモンの過剰分泌が起こります。わんちゃんの場合、多くは下垂体性です。
またステロイド剤の長期間投与でも同じ症状が現れる医原性クッシング症候群もあります。
診断はACTH刺激試験という検査を行うことが多いです。
この検査は、副腎皮質を刺激する注射をします。注射前と注射後で血中のコルチゾールというホルモンの濃度を測定し、異常値を検出します。
また下垂体性か副腎性かを判断するために、腹部のレントゲンやエコー検査、頭部のCT、MRI検査を行うこともあります。
治療は内科療法、放射線療法、外科手術などがあります。
下垂体性の場合は、ホルモンの合成を抑える薬の内服を行うことが多いです。
副腎腫瘍の場合は、摘出手術が第一選択となることが多いです。